後立山縦走(爺ヶ岳-鹿島槍-キレット-五竜岳-唐松岳)

1978年9月

長野県大町市

1日目 信濃大町-扇沢(黒四ダム入口)−種池山荘-爺ヶ岳-冷池山荘(泊)

2日目 冷池山荘-布引山-鹿島槍ヶ岳-八峰キレット-五竜岳-唐松山荘(泊)

3日目 唐松山荘-唐松岳-八方尾根 (上松駅下車 灰沢鉱泉 泊)


扇沢を見下ろす

 北陸本線の夜行列車「つるぎ」を糸魚川で降り大糸線に乗り換え信濃大町で下車し、バスで扇沢に着く。扇沢の橋を渡り沢に沿って遡り尾根に取り付く、急なジグザグの道を嫌になる程登って涸れた沢を横ぎりなお登って行く。見下ろすと扇沢の駐車場が遥か下に見えている。(写真)


爺岳より剣・立山連峰

 一休みしていると急にガスが晴れすぐ目の前に種池小屋がボンヤリ見えた、頑張って小屋に着き缶ジュースを飲みしばらく休んで出かける。爺ヶ岳、冷池小屋が遠くに見えるが、鹿島槍の頂上は雲に隠れたままである。種池小屋付近の紅葉は今が見頃で真っ赤に燃えている、ハイ松の緑とのコントラストが美しい。少しずつ高度を稼ぎ爺ヶ岳頂上に着く、黒部側はよく見える(写真)が信州側は雲海である。

 頂上で少し休み冷池へと下って行く、ナナカマドの実が真っ赤に色づいている途中で霧の中に自分の影が写りその回りを虹が取り囲んで見えるブロッケンの怪である。鹿島部落への道を分け少し上がった所で冷池に着いた17時であった。部屋は2階で暗くて何も見えない、雨が少し降っているようだ。


鹿島槍ヶ岳南峰

  朝外に出てみると剣岳、鹿島槍が曇空に眺められた、小屋を出て鹿島槍へ向かういくつかピークを越えて行く最後の登りがきつい、やっと鹿島槍南峰に着く。剣岳が目の前に大きく広がり、鹿島槍北峰も美しい今まで見えなかった五竜岳の方も見える。

 写真を写している時に突風で帽子が飛ばされ行方不明になってしまった。吊尾根を下り雪渓のある所へ出る、南峰が高くて大きい。(写真)北峰には登らず巻き道をキレット小屋へと向かう。


鹿島槍ヶ岳

 長い尾根道をのんびり行く振り返ると鹿島槍の双耳峰が美しい(写真)まもなくこのコースの最大の難関である大キレットに出る、本当にスッパリと尾根が切れている。慎重にハシゴを登り、岩を掴んで降りると下にキレット小屋が見えた。小屋の前で紅茶を飲み大休止して出かける。


五竜岳より剣・立山連邦

 始めはのんびりしていたが五竜岳に近づくと共に岸壁の道になってくる、手足を使い三点確保でゆっくり確実に登って行く、やっと頂上の下に着くが頂上は立入禁止になっていた。それでも剣・立山連峰が美しく眺められた。(写真)


白岳より五竜岳

 小休止し下って行くと五竜小屋がすぐ見えた、小屋でジュースを飲み15時に出かける。最初のピーク白岳から振り返ると五竜岳が堂々と鎮座し美しい。(写真)途中で大勢の人に出会う連休に入ったのだと実感、もういやになるほど上り下りを繰り返す。雷鳥も見かけたがすぐハイ松の下に姿を消した。


大黒岳から唐松山荘と八方尾根への道

 みぞれになったりアラレ、雪に変わったり天候はあまり良く無いが多くは降らない、最後の岩尾根を慎重に進み最後のピークの大黒岳に登るとやっと唐松山荘が見えた(写真)17時であった。夕食は山小屋には珍しくカレーライスであった、小屋は満員で一つのふとんに二人づつ寝ることになる、両隣の人のいびきに悩まされあまり寝れなかった。


唐松岳より白馬方面

 朝起きるとガスで廻りは見えなかったが唐松岳の頂上ではガスも薄くなり白馬岳(写真)剣岳が近く、遠くに槍・穂高をはじめ北アルプスの山々と浅間山が美しい。時々晴れるガスの合間をぬって写真を撮る、日本海の方まで見える。

  黒部の谷から吹き上げて来る風が頂上付近でガスに変わってゆく、八方尾根、白馬村も霞んで見える。


八方尾根より白馬岳

 八方尾根を下り始める、すぐ二羽の雷鳥がいるのを見つけ写真を撮る人間を恐れないようであった。尾根を下って行くとよく晴れて青空も見えてくる、白馬三山、不帰岳が尾根の紅葉の向こうに見えて素晴らしい。


八方尾根より鹿島槍・五竜

 白馬三山の反対側には五竜岳(手前)、鹿島槍の双耳峰(後方)が美しい。そして隣の遠見尾根の長大さには驚いた、第三ケルン、第二ケルン、第一ケルンと降りて行くとだんだん人の姿も増え下界が近いことを感じる。黒菱からリフトで兎平へ、そしてロープウェイで山麓駅へと降りるもう山は見えない。バス停まで歩き、バスに乗り白馬駅へ向かう。

帰りに中央西線の上松駅で途中下車し、バスに乗り換え灰沢口で降り山道を20分程歩き灰沢鉱泉に着く。山の中の一軒宿で沢の横にあるので沢の音が大きく聞こえる、赤茶けたドロ水のような温泉に入り山行きのアカをおとす。夕食は岩魚のさしみ、塩焼き、フライそして松茸でとても美味しかった。

文章は当時の山日記から紹介しました。


コース所要時間

1日目 信濃大町-扇沢(黒四ダム入口)-(4:00)−種池山荘-(1:00)-爺ヶ岳-(1:00)-冷池山荘(泊)

2日目 冷池山荘-(2:10)-鹿島槍ヶ岳-(1:30)-八峰キレット-(4:00)-五竜岳-(2:20)唐松山荘(泊)

3日目 唐松山荘-唐松岳-(3:30)八方尾根-兎平-(ケーブル)細野-(バス)-信濃四谷駅(白馬駅)

 GORO−


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